“適応力のある組織は、環境を利用してたえず組織内に変異、緊張、危機感を発生させている。あるいはこの原則を、組織は進化するためには、それ自体をたえず不均衡状態にしておかなければならない、といってもよいだろう” 戸部良一他著 『失敗の本質-日本軍の組織論的研究-』より
「諸行無常」という言葉があります。この言葉は一般的には、世の中は虚しいもの、切ないものなのだと悲観的に解釈されがちですが、その本質は“万物は常に変化し続けており、少しの間もとどまらない”、つまり“変化こそが常態”ということなのです。
それに対して人間は、安定を本能的に望み(「現状維持バイアス」)、一度手に入れたものにしがみつき手放さない気質(「執着」)をもっています。
ビジネスは人間が集団で営む行為ですから、その集団を何もせずに放っておけば、人間の本質に従い、硬直的で柔軟性のない時代遅れな状態になっていくのは自然の成り行きなのです。
つまり、諸行無常の世界の中で企業を永続繁栄させるカギは、そこで働く人々全てに諸行は無常であることを認識させ、常に変異、緊張、危機感を持たせ続けるというある意味「不自然な行為」を徹底してやり続けられるかどうかにあるのです。
はじめは不自然と思われた行為も、繰り返し繰り返しやり続けることで、いつの間にか習慣化し自然にできるようになってきます。人に指示する前に、まずはリーダー自らが率先して範を示し、キツいことをやり続ける姿を見せることから変革を始めてみてはいかがでしょうか。